著作権法⑤

著作者人格権

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各論

著作者人格権

概要

17条、59条

(1)権利の享有

著作者人格権は著作者が享有する。

権利の享有には特段の方式を要さない。

(2)権利の移転等

著作者人格権は一身専属権であり、譲渡はできない。

相続もできず、著作者の死亡によって消滅する。

趣旨

  • 著作物は著作者の思想・感情という内面の発露である。
  • その著作者の人格的利益を保護する必要がある。

性格

  • 著作者人格権と著作権は別個独立に存在する権利である。
  • 著作者人格権により保護される行為は、著作者の同意を得て行う場合は原則として権利侵害とはならない。
  • 制度趣旨に照らし、職務著作における著作者人格権は制限的に理解すべきという指摘が存在する。
  • 侵害に対する救済措置としては、著作権侵害と同様の手段に加え、名誉回復等の措置請求(115条)が可能。

各論

公表権

18条。

著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。

公表とは

4条参照

公衆への提供・提示
  • 「公衆」: 不特定の者or特定かつ多数

  • 「提供」: 有形的利用。複製物の譲渡・貸与

  • 「提示」: 無形的利用。上演、演奏、上映、口述、展示、公衆送信など

制限

一定の場合に制限が存在

  • 同意の推定 :18条2項。
  • 情報公開法・公文書管理法:18条3項・4項

氏名表示権

19条。

著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。

趣旨

誰の創作による著作物であるかを明確にすることは、著作者にとって重要な人格的利益であるから、これを保護

効果

「監修」「協力」などの肩書では当該要件を満たさない可能性がある

・ノンフィクション書籍について、「協力者や参考文献の著者として表示されるだけでは足りない」と判断

・歴史小説を翻案・複製して制作されたテレビ番組につき、エンドロールに「参考文献」として小説と著者名を表示することで足りると判断

制限
  • 既存の著作者名の表示 : すでに著作者が表示しているところに従って著作者名を表示できる(2項)
  • 著作者名の表示の省略 : 利用目的と態様に照らし、著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるときは、公正な慣行に反しない限り省略できる(3項)
  • 情報公開法との調整(4項)

同一性保持権

20条。

著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。

趣旨

著作物に勝手な改変を許すと、著作者のこだわりが損なわれ、評判を害する可能性がある。

したがって、著作物の完全性を維持することは重要な人格権であり、これを保護する必要がある。

「意に反して」
  • 著作者の主観的意図に反すること。
    • 客観的に見て価値が高まったとしても、侵害となる
「改変」

【判例】パロディ・モンタージュ写真事件(最判昭和55年3月28日)

他人の著作物における表現形式上の本質的な特徴を維持しつつその外⾯的な表現形式に改変を加える⾏為

本質的特徴の維持 + 外面的な表現形式の改変

転職情報ウェブサイト事件(東京地判平成15年10月22日)

文末表現、数字等の変更、掲載項目の順序の入れ替えについて、

「原告著作物の本質的な特徴をなす表現部分を改変したと評価することはできない」

同一性保持権の侵害を否定

本多勝一反論権事件(最判平成10年7月17日)

原告の執筆した書籍の関係箇所38行を3行に要約し紹介したことについて、

「38行にわたる本件著作部分における表現形式上の本質的な特徴を感得させる性質のものではない」

同一性保持権の侵害を否定

制限

20条2項。

  • 学校教育関係
  • 建築物関係
  • プログラム関係
  • やむを得ない改変

「やむを得ない改変」?

スイートホーム事件(東京⾼判 平成10年7月13日)

…ビデオ化される際には、トリミングが行われることについて了解を与えていたこと、…Aが、本件映画の製作総指揮として、本件映画の編集、ダビング、特殊撮影や、合成部分の仕上げ等の業務を行い、このようなAの編集等の参与について控訴人が特段の意義も述べていなかった事情を総合すると、…Aが、監督としての控訴人の了解を得ないでトリミングをしても差し支えないと判断し、その行為に出たとしても、本件改変行為当時としては、その行為は、妥当なものでなかったということはできず、著作権法20条2項4号…に該当するものと認めるのが相当である。

脱ゴーマニズム宣言事件(東京⾼判平成12年4月25日)

原カット(イ)、(ニ)、(ホ)は醜く描写されているために名誉感情を侵害するおそれがあり、カット4、53、54においては、⽬隠しによって、名誉感情を侵害するおそれが低くなっていることが明らかであるから、右⽬隠しは、相当な⽅法というべきである。

みなし侵害

113条7項。

著作者の名誉又は声望を害する方法によりその著作物を利用する行為は、その著作者人格権を侵害する行為とみなす。

趣旨

著作者の意図を捻じ曲げるような形での著作物の利用や、著作物の芸術的価値を害するような形での利用を阻止することで、著作者の人格的利益を全うすること。

  • 芸術作品を卑猥な施設の広告として利用
  • 荘厳な宗教音楽を喜劇用の楽曲として演奏
  • 著作物を、特定の政治的立場を支持する意図で創作されたと誤解を生むような形で掲載すること
名誉又は声望

主観的感情ではなく、社会的評価

著作者の死後の著作者人格権

  • 一身専属権であるから、著作者の死亡時をもって消滅。
  • ただし、60条

著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなつた後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。ただし、その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作者の意を害しないと認められる場合は、この限りでない。

  • 60条違反について、遺族は差止請求や名誉回復等の措置の請求が可能。