行政法のうち、行政事件訴訟に関してです。

行政事件訴訟の類型とか

行政事件訴訟

法律上の争訟を裁判:

①当事者間の具体的な権利義務に関する紛争であること

②法令の適用により終局的に解決できる紛争

※裁量の範囲内の行為については、たとえ不当であっても取り消しできない

※個別具体的な事件を離れて、抽象的な法律の効力を直接争うことはできない

①:

特定の市営保育所を廃止する条例が制定される場合、現在入所中の児童やその保護者は、保育を受けることを期待しうる法的地位を奪われることになり、条例の制定行為そのものを争うことができる(最判平21年11月26日)

②:

資格試験に不合格になった者が、合格にするか、慰謝料を払うよう求めた事件において、試験の合否判定は、知識、能力等の優劣・当否の判断であって、実施機関の最終判断に委ねられるべきものであり、法令の適用による解決に適さない(最判昭41年2月8日)

類型

概観

行政事件訴訟は主観訴訟と客観訴訟に大別される

主観訴訟は個人の権利利益の救済を目的とし、

客観訴訟は個人の権利利益侵害の有無に関わらず行政の適法性を確保するための訴訟

・主観訴訟には「裁判を受ける権利」の保障が及ぶが、客観訴訟をどの程度認めるかは立法政策の問題

=客観訴訟は特別の規定がある場合に限り、例外的に認められる類型である

主観訴訟:抗告訴訟、当事者訴訟

客観訴訟:民衆訴訟、機関訴訟

抗告訴訟

行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟

  1. 処分取消訴訟
  2. 裁決取消訴訟
  3. 無効等確認訴訟
  4. 不作為の違法確認訴訟
  5. 義務付け訴訟
  6. 差止め訴訟

(行訴3条)

☆明文上の定めのない抗告訴訟を、法定外抗告訴訟と呼ぶ

当事者訴訟

①形式的当事者訴訟

②実質的当事者訴訟

の2類型。これらの仕組みは民事訴訟とほぼ同様。

形式的当事者訴訟

行訴4条前段。

「当事者間の法律関係の有無を確認し、又は形成する処分・裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とする」もの

本来は抗告訴訟で争うべきものを例外的に当事者間で争わせる訴訟。

例:収用法133条3項

実質的当事者訴訟

同条後段。

「公法上の法律関係に関する訴訟」

例:公務員の給与請求訴訟や日本国籍を有することの確認を求める訴訟

在外邦人が選挙権を講師する権利を有することの確認を求める訴え(在外邦人選挙権訴訟:最大判平17年9月14日)

卒業式等における国歌斉唱にかかる職務命令に関して、当該義務の不存在の確認を求めた訴訟(東京都教職員国旗国歌訴訟:最判平24年2月9日)


民衆訴訟

行訴5条。

「国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するもの」

法律に定める場合において、法律に定める者に限り提起可能(42条)

例:住民訴訟 住民監査請求

機関訴訟

行訴6条。

「国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟」

行政機関相互の争いのうち、特に公正な判断を期するもので、個別法が定めるものに限り、提起できる

例:地方自治法176条

抗告訴訟の種類

行訴3条

処分取消訴訟

行訴3条2項「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為の取り消しを求める訴訟」

処分は仮に違法であっても取り消されるまでは有効であり、取り消してもらう必要がある

(すでに述べた)

裁決取消訴訟

行政不服申立に対する行政庁の裁決や決定等の取り消しを求める訴訟

:裁決固有の瑕疵しか争えないと定める

建築確認の違法を争うときに、「建築確認が違法であるから、これを維持した裁決も違法である」とすることができない(原処分主義)

採血理由が不十分であるなどの裁決特有の瑕疵を争う場合に提起することになる

無効等確認訴訟

処分・裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟

無効な処分も、行政庁が自らそのことを認めない限り、事実上の拘束力を有するから、強制徴収等の不安・危険を排除するために訴訟を提起する

「無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り、提起することができる。」(36条)

☆出訴期間の制限なし

「法律上の利益を有する者」…取消訴訟と同じ

「現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないもの」…処分の無効を前提とする民事訴訟等によって不利益を排除することができない場合はもちろん、紛争解決のための争訟形態として、民事訴訟より無効確認訴訟のほうが直截で適切であるとみられる場合も提起できるとした(もんじゅ訴訟:最判平4年9月22日)

不作為の違法確認訴訟

行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟(3条5項)

ただし、違法確認総称を提起できるのは「法令に基づく申請」がなされた場合に限る。

義務付け訴訟

①非申請型の処分の義務付け訴訟と、②申請型の処分・裁決の義務付け訴訟とに大別される

<-国民の申請権が存在するか否かの違い。

非申請型の義務付け訴訟

法令に基づく申請権が定められていない場合において、行政庁に対し一定の処分を行うよう求める訴訟(1号)

不作為の違法確認訴訟は、「法令に基づく申請」がなければできない。通常、規制の受益者である周辺住民等が規制の発動を求める権利は法定されていないため、規制権限の不行使については非申請型の義務付け訴訟で争うことになる。

判例:

違法な産業廃棄物の処理について、知事が生活安全保全上の支障の除去等の措置を講ずるように周辺住民が求めた義務付け訴訟を認容した事例がある(福岡高判23年2月7日)

訴訟の提起のためには37条の2。

「他に適当な方法がないとき」:個別法において特別の救済方法が定められている場合等を除く規定。

申請型の義務付け訴訟

法令に基づく申請権が存在する場合に、当該申請・審査請求をした者が提起する義務付け訴訟。(2号)

①申請を放置された場合に不作為を争う訴訟(不作為型)と②申請を拒否された場合に拒否処分を争う訴訟(拒否処分型)の2類型に分けられる。

生活保護申請が放置されている場合に、保護決定をするよう求める訴訟が不作為型。不作為の違法確認訴訟では、仮に勝訴しても、保護申請が認められるか否かは定かではない。

生活保護申請が拒否された場合に、保護決定をするよう求める訴訟が拒否処分型。取消訴訟の提起も可能であるが、仮に勝訴しても、拒否処分前の状態に戻るだけであり、最終的に満足行く決定が得られるとは限らない。

このように、申請型の義務付け訴訟では希望する処分を直接求められる。

提起できる場合等について、37条の3。

判例:

水俣病認定申請の棄却処分につき、認定の義務付けが認められた事例(最判平25年4月16日)。

差止め訴訟

「行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟」(7項)

具体的な内容は37条の4。